うつ病を3回繰り返し、産後うつにもなった経験から、全国のママに向けたメンタルケアの講座やセッションに取り組んできた安藤由美子さん。そんな由美子さんが開発した「ライフエネルギーマップ」のワークブックづくりをお手伝いしました。
毎日忙しいママの心に寄り添う、やさしいデザインのワークブックを
ライフエネルギーマップとは、3つの質問に答えるだけで心と体のバランスをチェックできるツールのこと。いまの心と体の状態と、どんなことに気をつけるとよりよい状態になれるかが、だれでも簡単にわかります。
今回作成したワークブックは、忙しいママがいつでも、どこでもライフエネルギーマップを活用できるよう、コンパクトな冊子にまとめたもの。デザインのイメージについては、このようなご希望をいただいていました。
- 全体的にほっこりとあたたかく、安心できる
- 書き込みしやすいレイアウト
- かわいらしい手帳のような雰囲気で「いかにもメンタルケアの本」に見えないように
これまで自分でつくった講座資料やワークシートには、どこか硬い印象があったという由美子さん。「ワークブックはよりやわらかく、ママが手にとったときに安心できるようなものにしたい」と、知人の方のご紹介で依頼をくださいました。
比較してベストなものを選べるよう、表紙のデザインは3パターン用意
私が手がけたのは、表紙と中身のデザインすべて。装飾のデザイン、見出しや文字の配置はもちろん、図解の作成なども担当させていただきました。
ご依頼をいただいてまずおこなったのは、表紙と第一章のサンプルづくりです。表紙のサンプルは「ほっこり」「あたたかい」といったキーワードと、ワークブックのクラウドファンディングのビジュアルをもとに、ポップでかわいらしいもの、大人女性らしいシックな手帳風のもの、そして現在のデザインの3パターンを用意し、比較して選べるようにしました。
私の本命は現在のデザイン。由美子さんも、ひと目見て気に入ってくださったそうです。
表紙にはやわらかな色味のグラデーションカラーと水彩画のようなタッチの円を用いて、あたたかさや安心感を感じてもらえるよう意識しました。
また、植物の実と花、ぐんぐん伸びていく葉っぱで、「季節がぐるりと一周していくあいだに育っていく」というライフエネルギーマップの世界観を表しました。植物と「大福ちゃん(由美子さんのご友人である、ますだりつこさんがつくったキャラクター)」を上に向かって流れるように配置し、心と体の状態がだんだんよくなっていく様子を表現したのもこだわりポイントです。
ちょっとした情報からニーズをくみ取り、アイデアのかけらを集めてデザインに落とし込む
表紙や中身のデザインについて、由美子さんからは次のようなご感想をいただきました。
- ライフエネルギーマップの内容について詳しく話したわけではないのに、私の頭のなかにあったものをまるごと引っぱり出したかのようにイメージ通りのデザインだった
- 情報が少ないなかでも正確に世界観をつかめるのは、未来さんの「ニーズをくみ取る力」があってこそだと感じた
ちょっとした情報から細かなニーズをくみ取ることが得意だと思っているので、褒めていただけてうれしいです。
実は、クライアントさんのイメージ通りのデザインを叶えるには、イメージに合った資料探しもとても大切です。今回も、いろんな資料を見てキーワードとサンプルをひもづけていきました。
例えば、一口に「ふわふわ」といっても、いろんなかたちがありますよね。クライアントさんのイメージにより近づけたいときは、たくさんの資料からしっくりくる「ふわふわ」を探しだし、アイデアのかけらを寄せ集めて組み合わせるとうまくいきやすいのです。
「フィードバック会」で細かいすり合わせを繰り返し、クライアントの理想をかたちにする
企業とお仕事をするときは、ライターさんやディレクターさんがざっくりした構成をつくってくださることがほとんどです。しかし、由美子さんのように制作を仕事にしていない方からのご依頼では、「だれのためにどんな目的で何を載せるか」を相談しながら、構成を一緒に考えることもあります。
今回は文章とパワーポイントでつくった図をラフとして送っていただいていましたが、由美子さんいわく「デザインの見栄えとしても、ワークの取り組みやすさという点でも、自分で考えていた構成に自信がなかった」とのこと。
そこで「ワークに取り組む人」の視点からいろんなアドバイスをさせていただき、ふたりで相談しながら構成を練っていきました。
また、おおまかに構成が固まってきてからは、1回あたり2時間程度のフィードバック会を何度かおこないました。「このグレーの色味が、心のモヤモヤを連想させる気がする」「少し淡いグレーに変えて、軽やかな印象にしましょう」といった細かいすり合わせをくり返すことで、クオリティをさらに高められたと思います。
仕上げ作業まで寄り添い、納得できるプロダクトをともにつくり上げる
全体の進行について、由美子さんからはこのようなお言葉をいただきました。
- 初心者でもこんなにいいものをつくれたのは、未来さんがうまくナビゲートしてくれたから。やさしく寄り添ってくれる姿勢がありがたかった
- 最初は「何度も直してもらって申し訳ない」と思っていたけれど、「心から『こうしたい』と思える状態がどういう状態か聞きたいので、お話しましょう」とくり返し声をかけてくれたおかげで、途中からは安心して頼ることができた
- 文章が浮かばないときにも「どんなことを書きたいか整理しましょう」とヒアリングしてくれた。印刷所への入稿まで時間が迫っていて、仕上げ作業を妥協してしまいそうになったときも、最後の最後まで細かいミスをチェックし、修正してくれて助かった
クライアントさんと一緒にプロダクトをつくりあげていく過程が好きなので、私も最後まで楽しく走り抜けることができました。常に「限られた時間の中で、どうすればいちばん満足していただけるところにたどり着けるか」を考えながらのお仕事でした。
また、私は普段から「受け取り手に伝わるものをつくる」という考えをとても大切にしています。よりよいものをつくるため、「ここは少しわかりにくいな」と感じたところはいつも率直に伝えているつもりです。今回も、そうした想いを受け止めていただけたことで、よいプロダクトが生まれたのだと思います。
由美子さんのように「世の中に届けたいものがあるけれど、どうやってつくったらいいかわからない」という方は、ぜひお声がけください。あなたが大切にしていることに丁寧に耳を傾け、心を込めてかたちにさせていただきます。このたびはご依頼いただき、ありがとうございました。